- 著 チャールス・L・ハーネス
- 販売元/出版社 サンリオ
- 発売日 1979-06
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本家ワイドスクリーン・バロックであるのに、寡作で作品数が少ない上に翻訳は短編が三編と長編が一編しかないので日本ではワイドスクリーン・バロックという言葉が登場しても名前すら挙がらない事の多いチャールズ・L・ハーネス。
サンリオが撤退さえしなければ今頃は『リタネルの環』ぐらいは翻訳されていただろうと思うと残念で仕方ない。しかもどこかの出版社が翻訳権を持ったままらしいのに、翻訳される気配など一向に無いのでなおさら悔しくてたまらない。
で、唯一翻訳された長編『ウルフヘッド』はというと残念ながらワイドスクリーン・バロックではない。
地底に住む住人に妻を誘拐された主人公。その時に受けた傷がきっかけとなって超能力を手に入れるのだが、その超能力は24時間で消えてしまうことを知る。自分の脳の一部を移植し、意志の疎通が出来るようになった狼と共に地底に潜り、24時間以内に妻の救出を目論む。というのがおおよそのあらすじなのだが、本家ワイドスクリーン・バロックが書いたとは思えないほどごく普通でまともな展開をする。
解説でも安田均が、ハーネスの評価は『The Paladox Men』か『The Ring of Ritornel』が出たときにするのがいいだろうといっている通りで、この本だけだとハーネスを絶賛したくってもしようがない。
まあ今更あえて読もうとしなくってもいい話なんだけど、冗長な部分が無いおかげでテンポよく進む展開と事件は解決してもハッピーエンドではない終わり方のおかげで読んだら読んだでそれなりの充実感は与えてくれる。
コメント
これまたすごい昔の本を取り出してきましたね。
サンリオが翻訳したならばかなり上出来の訳に
なっていると思いますし、興味はあります。
たまには過去の作品を引っ張り出して読んでみる
のもいいかもしれませんね。
うーん、訳に関してはどうでしょうか。まあこの本に関していえばさらりと読み飛ばすのが正解のような感じもするので、誤訳があってもそれほど問題ないような気もします。
サンリオが撤退してしまったせいでハーネスの紹介が途絶えてしまったのはもの凄く残念です。
国書刊行会あたりで救ってくれないものかと思っているんですが……