銀輪の覇者

銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1) (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)

  •  斎藤 純/
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2007-08-25

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銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2) (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)

  •  斎藤 純/
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2007-08-25

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解説でも書かれているとおり、トム・マクナブの『遥かなるセントラルパーク』を彷彿させる話だ。
もっとも、こちらは日本本州横断自転車レースであちらはアメリカ横断マラソン、しかも週に6日、1日80キロを走破し三ヶ月かけて横断しようとする話だから比較してしまうと分が悪い。
しかし規模では負けても心意気は負けていない。なにしろ自転車といっても競技用の自転車ではなく、実用自転車なのである。何故実用自転車なのかは読めば理由がわかるのだが、そのあたりからして既に曰く付きの自転車レースなのである。
さらに曰く付きなのは自転車だけではなく、出場者もそうだ。あるものは己の信じる者のため、あるものは復讐のため、あるものは貧困に苦しむ故郷の村に莫大な賞金を持ち帰るため、そしてあるものは己の邪な愛情のため。
あまりにも多彩な登場人物のために収集が付かなくなってしまっているきらいはあるものの、それ故にだろうか物語は一気に崩壊し、なし崩し的に怒濤のラストへとなだれ込むのだ。
己が背負っていたさまざまなしがらみが無くなったとき、ただひたすら純粋にペダルを漕ぐのである。銀輪の覇者となるために。

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