スタニスワフ・レム著 / 深見 弾訳
既にあちらこちらで言及されていますが、「枯草熱」は「かれくさねつ」とは読まずに「こそうねつ」と読むそうです。ずっと「かれくさねつ」と読んでましたよ。さらにはこの病気、「花粉症」のことだそうです。この本の題名を見たときからずっと、なんだかミステリアスな名前の病気だなあと思い続けていましたが、「花粉症」と聞くと百年の恋も冷めたような気分です。
何の説明もなしにいきなり話が始まり、その内容がかなり不条理というか説明することを最初から放棄したような状態で進んでいきます。映画であればこのような手法はよく見かけるのですが、大抵5分程度で終わります。この本の場合、第一章で終わらず第二章までこの調子が続くので、何が起こっているのか、どんな話なのかもわからない状態の映像が延々三十分程度続く映画を見せられているようです。
しかし、第三章に入るとうって変わって執拗なまでに背景が説明されます。このまま一気に事件が解決してしまうんじゃないかと思うぐらい延々と続く説明を読んでいるうちに次第に物語に入り込んでしまうので、まんまとレムの手中にはまってしまったような気もしないでもありませんが、事件は単純には解決しません。
イタリアはナポリで起こった連続怪死事件。ナポリを見て死ねというわけではないものの、果たして事件のつながりはあるのか、それとも単なる偶然なのか…。そもそもレムがまともなミステリを書いたのだろうかどうかもわからない状態であるからして、事件の真相じたいも解明されるのかわからないのだから読んでいる方もたまったものではありません。しかし読み終えてみると紹介文に書かれていたとおり「確率論ミステリ」でありました。確かに「確率論」としかいいようがないというか、事件の真相が解明された後に繰り広げられる論議がこの本の肝となるわけで、ミステリにおけるルールでさえもレムにあっては形無しといったところです。さすがは知の巨人と言いたいところだけれども、なんだかレムにうまく丸め込まれたような気もします。
何の説明もなしにいきなり話が始まり、その内容がかなり不条理というか説明することを最初から放棄したような状態で進んでいきます。映画であればこのような手法はよく見かけるのですが、大抵5分程度で終わります。この本の場合、第一章で終わらず第二章までこの調子が続くので、何が起こっているのか、どんな話なのかもわからない状態の映像が延々三十分程度続く映画を見せられているようです。
しかし、第三章に入るとうって変わって執拗なまでに背景が説明されます。このまま一気に事件が解決してしまうんじゃないかと思うぐらい延々と続く説明を読んでいるうちに次第に物語に入り込んでしまうので、まんまとレムの手中にはまってしまったような気もしないでもありませんが、事件は単純には解決しません。
イタリアはナポリで起こった連続怪死事件。ナポリを見て死ねというわけではないものの、果たして事件のつながりはあるのか、それとも単なる偶然なのか…。そもそもレムがまともなミステリを書いたのだろうかどうかもわからない状態であるからして、事件の真相じたいも解明されるのかわからないのだから読んでいる方もたまったものではありません。しかし読み終えてみると紹介文に書かれていたとおり「確率論ミステリ」でありました。確かに「確率論」としかいいようがないというか、事件の真相が解明された後に繰り広げられる論議がこの本の肝となるわけで、ミステリにおけるルールでさえもレムにあっては形無しといったところです。さすがは知の巨人と言いたいところだけれども、なんだかレムにうまく丸め込まれたような気もします。
コメント
「こそうねつ」と読むのですか。
私も長らく「かれくさねつ」と読んでおりました。
恥ずかしっ。
なにがなんだかわからないって言われると無性に読みたくなるのが人情。
いや、私だけか。
ありがとう国書刊行会。
と言いたいのだけど、この本、図書館で買ってくれないのです。
自分で買うか~、しかしお高いよ、でも読みたい~。
>なにがなんだかわからないって言われると無性に読みたくなるのが人情。
単に私の読解力の無さだけかも知れませんが…(^^)
「天の声」目当てだったので「枯草熱」の方はそれほど期待しておらず、そのためか、わりと楽しめたのですが、期待しすぎるとがっかりするかもしれません。とくにミステリとしては。