米沢 穂信
前作、前々作で言及されてきた文化祭がいよいよ始まる。「氷菓」「愚者のエンドロール」もこのための大いなる伏線だった!! ……というのは少し言い過ぎでもありますが、待ち続けてきた甲斐がありました。
手違いにより多く刷りすぎた古典部文集を三日間の文化祭中にいかに売りさばくかという問題が縦糸、文化祭中に発生した「十文字」事件の謎が横糸となって物語は進む。
今回は、今までの折木奉太郎の視点オンリーから、古典部4人の視点で交互に語られる形式が取られている。この多視点のおかげで文化祭の喧噪・魅力が余すところ無く語られ、文化祭を描いた小説としては完璧に近い。そして、米澤穂信の持つ独特のユーモアは健在というよりもますます研きが掛かって絶好調。
ではあるが…
ミステリとしての部分は少し物足りない面がある。
犯人に対する手がかりに対して動機に対する手がかりが少ない点と、謎解きに重要な役割を果たすあるアイテムの入手方法が不自然なまでに偶然的な点だ。
しかし、前者は探偵役に対して少ないだけであって、読者に対しては多視点の構造中に間接的に盛り込まれているし、後者はミステリ的整合性よりも「わらしべプロトコル」と「お参り」の結果の方を優先させたとすれば納得できる結果ともいえるわけで、そのように考えれば瑕疵といえる瑕疵は無いかもしれない。
惜しむらくは、「クドリャフカの順番」というタイトル持つ魅力とそこから発生する謎への期待感に対して、真相部分が「クドリャフカの順番」に対して間接的にしか絡んで来ないために期待感が宙ぶらりんとなってしまった部分だろうが、このくらいは何の問題もない。
米澤穂信の小説をまだ読んでいない人は、これから読むことができるという幸せが待っている。
手違いにより多く刷りすぎた古典部文集を三日間の文化祭中にいかに売りさばくかという問題が縦糸、文化祭中に発生した「十文字」事件の謎が横糸となって物語は進む。
今回は、今までの折木奉太郎の視点オンリーから、古典部4人の視点で交互に語られる形式が取られている。この多視点のおかげで文化祭の喧噪・魅力が余すところ無く語られ、文化祭を描いた小説としては完璧に近い。そして、米澤穂信の持つ独特のユーモアは健在というよりもますます研きが掛かって絶好調。
ではあるが…
ミステリとしての部分は少し物足りない面がある。
犯人に対する手がかりに対して動機に対する手がかりが少ない点と、謎解きに重要な役割を果たすあるアイテムの入手方法が不自然なまでに偶然的な点だ。
しかし、前者は探偵役に対して少ないだけであって、読者に対しては多視点の構造中に間接的に盛り込まれているし、後者はミステリ的整合性よりも「わらしべプロトコル」と「お参り」の結果の方を優先させたとすれば納得できる結果ともいえるわけで、そのように考えれば瑕疵といえる瑕疵は無いかもしれない。
惜しむらくは、「クドリャフカの順番」というタイトル持つ魅力とそこから発生する謎への期待感に対して、真相部分が「クドリャフカの順番」に対して間接的にしか絡んで来ないために期待感が宙ぶらりんとなってしまった部分だろうが、このくらいは何の問題もない。
米澤穂信の小説をまだ読んでいない人は、これから読むことができるという幸せが待っている。
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