柚木麻子の『王妃の帰還』を読む。
相変わらず柚木麻子は面白いなあ。
とはいっても今のところ僕は柚木麻子の良い読者ではないし、『けむたい後輩』は文庫化されているのにまだ読んでいないので熱心なファンともいえない。
読むか読まないかはその時の気分による場合もある。
で、この物語はいわゆるスクールカーストを扱った話だ。舞台は私立女子校なので、僕の知りえない世界で、男の僕からすると女子校ってのはこんなに恐ろしいところなのかと思ったりもするけれども、それはあくまで物語の世界のことであってとりあえず現実との対比はしない。
タイトルにもある通り、クラスの中で一番の位置にいた王妃こと滝沢さんがある時をさかいにその地位を追われスクールカーストの最下位におちてしまう。一方で主人公範子はというとスクールカーストの底辺あたりにいながらも争いごとに巻き込まれないように気の合う仲間たちと地味に平穏に過ごす努力をしている。
しかし、ふとしたきっかけで転落した王妃を仲間に入れることになり、そこから気の合う仲良しグループは崩壊の危機に陥ることになる。このままではいけない。そう思った主人公たちはささやかな日常を取り戻すために王妃の帰還を企てる。
というわけで、スクールカーストという負の部分の問題を扱いながらも読み心地は悪くない。なにしろ結末はハッピーエンドで、これもまた、現実ではそんなにうまくいくわけはないと思う部分もあるけれども、物語なのだからそれでいいじゃないか。
コメント