マレイ・ラインスターなんて、なんと懐かしいのだろう。といってもラインスターの作品はあまり読んでいなくて僕が読んだとはっきりと言えるのは「最初の接触」と「時の脇道」ぐらいだ。「最初の接触」はファーストコンタクトテーマの嚆矢といわれるし、「時の脇道」はパラレルワールドの概念が登場したはじめての作品といわれている。だからマレイ・ラインスターというとちょっとB級作品というイメージが強いのだが、実際はそんなことはない。
とはいってもいまさら改めて読んでみた場合、色あせてみえるだろうなあと思ったのも事実だ。
しかし、改めて読んでみるとこれが面白い。異星人側も人類と同じような思考をしているというのは出来すぎという気持ちもあるけれども、あくまでこれは人類と同じような思考をもった異星人との接触という話なのだからおかしくはない。とはいってもそれじゃあ異星人ではなく、地球を舞台として未開の原住民との接触の話にしてしまっても構わないのではないかという問題もあるけれども、それは置いておこう。
僕がこの話を最初に読んだのは福島正実編集のアンソロジーだったので、イワン・エフレーモフの『宇宙翔けるもの』も同時に読んだ。伊藤典夫翻訳という縛りがなければ『宇宙翔けるもの』も収録されていればよかったのになあと思ってしまう。
ジョン・ウィンダムの「生存者」はジョン・ウィンダムはこういう話も書いていたのかと思わせる実に嫌な話。
デーモン・ナイトの「楽園への切符」はフレデリック・ポールの『ゲイトウェイ』みたいな設定の話だけれども、物語の開始と終わりの雰囲気が全く違っているところが面白い。
フィリップ・ホセ・ファーマーの「キャプテンの娘」は100ページ近くと一番長いだけあっていろいろな要素が盛り込まれて読みがいがあるけれどもこの作品単独だとファーマーの先進性は薄れてしまうかな。そんな気がした。
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