バビロン3 ―終―

副題が「終」となっているので今回で完結するのかと思ったら違っていた。まだ続くようだ。
前巻の終わりで主人公の部下が生きたまま手足を切断されて殺されるという残酷な終わり方をしてなおかつ活字として読むのであればそういう残酷な描写であっても頭のなかでイメージなどせずに読むことができるのだが、作者はあえて活字でありながらも手足を切断するというイメージをあえて強要させるような手法でもって表現したのは記憶に新しい。
そこから主人公がどういう行動をするのかと思っていたら今回は舞台がアメリカに移りなおかつ語り手も変わってしまった。
日本国内に自殺を合法として扱うという特区ができたという設定の元に始まった物語が三作目では海外に広がっていく。世界の各国の中でも自殺を合法として扱う都市が現れ始める。
それに対して各国の政府がどういう対応を強いられそしてどういう対応をしていくのかという展開である。
まさかここまで話を広がせてくるとは思わなかったのだが、その一方で、語りかけるだけで相手を自殺に追い込む事ができる謎の女性、曲瀬は暗躍する。
野﨑まどの小説には異能の能力を持つ女性が登場するが基本的には語り手と異能の能力者は友好的な関係にある。友好的な関係であるがゆえに能力の暴走を防ぐことが可能だったわけだが、このシリーズではそれが敵対する関係にある。敵対する関係にある状態でどう立ち向かうことができるのか、どういう答えに着地するのかは次の巻を待つしかない。

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