前巻で何者かに連れ去られてしまったウサギのハルの救出劇。
1巻の冒頭でアルパカ殺しという事件があったとはいえ、舞台は学校、そして肉食動物と草食動物はお互いに規律を守って共存している世界だったのだが、前巻から舞台が学校から離れ、学校を取り巻く大きな社会が描かれ始めていくと、肉食動物と草食動物との共存というのが極めて限定的な場所においてのみにしか存在し得ないという部分が現れ始めていく。
ウサギのハルは肉食動物によって食べられるために誘拐され、誘拐犯がシシ組という暴力団であるがゆえに見て見ぬふりをする人々。肉食動物と草食動物との共存を推進する市長ですら、己の目的のために助けることをしない。
いろいろな思惑の中、レゴシはパンダのゴウヒンの助けを借りて救出に乗り出すのだが、自分の中の獣性とハルに対する気持ちに対する答えを見つけ出すことができるのか。
たった二人で暴力団の組織に乗り込んでいって助け出すことに成功してしまうってのはうまく行き過ぎという気もしないでもないが、そこはパンダのゴウヒンがやたらと強かったということにしておいて、自分の中に答えを見つけることができたかのように見えるレゴシと、まったく正反対の方向へと向かっていってしまったルイ。次の巻も楽しみである。
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