大人スキップ 1

『私を連れて逃げて、お願い。』と同様、ダメ人間がとことんダメなまま物語が進んでいく話だ。
今回は、中学2年の女の子が事故で昏睡状態になり、そして40歳になって目覚めたという話。いきなり14歳から40歳になってしまうという設定は、北村薫の『スキップ』にもある。あちらは事故というわけではなく、精神のタイムスリップのようなものだったが、こちらは昏睡状態から目覚めたという設定なので現実味はある。
が、それはそうとて、主人公は根本的に14歳のままであり、なおかつ社会経験もなく、良い子でもない。
両親はすでに亡くなっているが、遺産はあるので当面の生活には困らない。
主人公の身元保証人となってくれるのは遠縁のいとこのみだが、そのいとこも、主人公が亡くなってくれていたら遺産は自分のものだったのにと、欲望を隠すことすらしない人間である。
というわけで主人公を助けてくれる人は絶望的に少ないなかで、ダメ人間である主人公がどのように生きていくのかということになるのだが、そこは『私を連れて逃げて、お願い。』の作者である。たぶん、予想外のところへ連れて行ってくれるのだろう。

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