二巻で垣間見せた、肉食動物と草食動物との共存社会の実態というものがより深く描かれることになるのが、この三巻だ。
演劇部は街で行われる隕石祭という祭りの準備に協力をするということで演劇部の裏方たちは街へと繰り出すこととなる。
いっぽうで、街では草食動物が何者かに殺害されるという事件が発生する。憎しみによる殺害ではなく捕食としての殺害であり、食殺と呼ばれている。
街へと繰り出そうとするレゴシ達に、裏市へは行ってはいけないと忠告する演劇部の先輩たち。街には裏市と呼ばれる市場があるのだ。
学生である彼らはもちろんそんな場所へは行くつもりはないのだが、道に迷い、気が付くとそこは裏市であった。
道端に年老いた草食動物がいる。彼はレゴシに、一本\50,000でどうだと指を差し出す。
彼の指は全部そろってはいない。彼は自分の指を差し出すことによって生きているのだ。
裏市では動物の肉も売っている。病院で亡くなった動物を手に入れ解体し売っているのである。
少しずつこの世界の様相が見えてくる一方で、自分の肉食動物としての本能と向き合う主人公レゴシ。
その危うさが思春期の不安定な感情と会い重なって、絶妙なバランスとなっている。
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