『髑髏島殺人事件』に続く、新生滝沢紅子シリーズの二作目。
前作は、作者が今まで「○○殺人事件」という題名の本を書いたことがなかったという理由で『髑髏島殺人事件』とつけてみたせいか、今回は殺人事件という題名はつけてはいない。
ダイイングメッセージ尽くしだった前作に対して、今回は、消える尽くしである。
最初にマンションの空き部屋に死体が現れて、発見者が人を呼びに行っている最中にその死体が消える。しばらくして今度は駐車場で死体が現れ、同じく消える。
はたして二つの死体は同一のものなのか、そして死体を動かしているのは誰なのか。
死体を見たものはいるけれども肝心の死体が見つからないままに、滝沢紅子たち今谷少年探偵団は動き出す。
前作では事件を複雑にしてしまった原因の一つが今谷少年探偵団で、彼らが事件解決に動き出さなければ連続殺人事件には発展しなかったのだが、その一方で彼らが騒がなければ事件は解決には至らなかったという部分もあった。
今回も、根本的な部分において、事件に関わった人物たちがそれぞれ自分勝手な思惑で行動してしまったために、死体が何度も現れては消えるという謎につながり事件が複雑になってしまっている。
より現実的といえば現実的な謎解きでもあるのだが、そのためか、謎が解き明かされても、なんだかもやもやとした部分は残ってしまう。
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