女子高生の殺し屋の話。
設定そのものはそれほど目新しいものではないのだが、一読して驚く。
タイトルに偽りなしのバイオレンス作品であり、それでいて血みどろというわけでもなく、非常に乾いた世界なのだ。
あまりにも淡々と人は殺され、あるいは壊されていく。
そこには情けとか人情といったものはまったく存在しない世界で、それでいて登場人物には少しだけ情けや人情が存在する。しかし、物語はそんなところに流されるわけでもなく、登場する殺し屋は淡々と人を殺し、死体は掃除屋と呼ばれる人間によって最初から何もなかったかのごとくきれいに処理され、そして尋問する必要がある場合には医者と呼ばれる人間が、相手が喋るまでただ淡々と手足を切り取っていく。
吐き気がするほどの世界である。
殺される人間は殺されると決まった時点で、既に物と化しているのである。
主人公はそんな世界で、何処の組織からも中立の殺し屋斡旋業者に所属するナンバーワンの殺し屋である。その一方で彼女には日常の生活があり、時として日常の世界が描かれる。
日常のありふれた世界に重なる形でおぞましいほどの暴力の世界がある。
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