バーチャルハルシネーション

統合失調症というものを理解しようとするのは難しいということが以前にも書いた。
それは関わりあいを持っていない人に対してだけではなく、関わりあい常に日常生活をともにしている家族であってもそうだ。
妻が発症し始めたころ、頭のなかを覗かれているという妻に対して僕は、そんなことがありえないことを理屈で持って説明しようとし続けていた。
理屈で説明すればいつかは理解してくれるものだと思っていたのだ。
しかし、いつまでたっても理解してくれる日が訪れることなどなく、医療保護入院という道を選んでしまった。
妻が入院している間、僕は色々な本を読み、統合失調症という病気がどういうものなのか知ろうとした。
その一つにバーチャルハルシネーションというものがあった。これは統合失調症に罹ってしまった人が、どういう状況にあるのか、つまり統合失調症の当事者から見た世界がどのように見えているのかを擬似的に体験することができる仕組みだ。
そこで僕が見た世界は、にわかには信じがたい世界で、いまでもそれが現実に起こりえるというのは信じることが難しい。ただ、この世界が日常茶飯事であるとしたら、とても苦しく辛い状況であることだけはわかった。
信じがたいけれども、それは当事者にとっては真実の世界である。
いつの間にか、バーチャルハルシネーションも改良を重ねられており、僕が見たのはあきらかにCGだとわかる映像だったが、いまのものはもっとリアルな映像になっていた。
バーチャルハルシネーション
たんなる興味本位でみるのであればおすすめしないが、こういうものを作らなければ理解してもらうことが難しい病気であるということだけはわかってもらいたいと思う。

コメント

  1. 五十八 より:

    大変につらい状況におありになるのですね。
    傍からではとうてい本当のことは理解できないと存じます
    とても苦しい、つらい状況を耐えておられることだけは伝わって参ります。
    なにもお役に立てませんが、一日も早く良くなられますようにお祈りはいたしております。
    余計なことを言ってもうしわけありません。

  2. Takeman より:

    五十八さん、コメントありがとうございます。
    まあ、いろいろとあります。
    が、悪い時もあれば良い時もあります。悪い時はどうしようもないのですが、それは振り子のようなもので、ずっと悪い時ばかりでもありません。
    その点に関してはありがたいと思っています。

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