週刊 5巻以内で完結する傑作漫画99冊+α 54/99

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  1. 『夜とコンクリート』町田洋
    デビュー作の『惑星9の休日』も捨てがたいが、こちらのほうが完成度が高いと思う。
    一コマにおける空間の取り方が実に気持ちよくってこの空間を眺めているだけでも心が満ちた気持ちになることができるのだが、見開きのうまさもあなどれない。
    的確な場所で的確な構図でいきなり眼前に広がる一枚の大きな絵は衝撃的だ。
    そして、余分なものをとことん削ぎ落したかのようなシンプルな線によって描かれる町田洋の世界はの心地よさは揺るぎない。
    もちろん素晴らしいのは絵だけではなく、その絵でもって描かれる物語のほうも素晴らしい。
    余分なものをとことん削ぎ落したかのようなシンプルな線によって描かれる町田洋の世界は前作と同様であり、一話の長さが長くなってもその心地よさは揺るぎない。
    シンプルな線でありながらも話によってその線のタッチというか線の描き方を変えていて、ある話では人間も物も直線で描かれていたり、ある話では全ての物がフリーハンドっぽい感じで描かれていたり、それらがその物語で描かれる内容とマッチしているかというとそれほどマッチしているわけでもないけれども、ほんの少しだけ感じられる違和感のようなものが、町田洋が描く静かな物語に対する微かなノイズのような味付けとなってより一層、味わいを際立たせている。

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