二日間続けて通勤途中に車どうしの接触事故を見かけた。最初の日などは1箇所だけでなく2箇所だったので合計すると3回になる。
通勤時間は40分ほどなので決して短い距離ではなく、通勤時間が長ければ長いほど事故を見かける確率は上がる。もちろん事故現場に遭遇したからといってそこに何かの因果関係を見出すようなことはしないけれども、自分の運転には身を引き締める気持ちは出てくる。もっともそいうった気持ちが持続するのは数日間だけれども。
最近の車は自動ブレーキが付くようになってきているのでこういった事故も少しは減っているのでないかと思うのだが、統計的なデータは出てきているのだろうか。技術の進歩によって事故が減ってきてくれると技術者の端くれとしてはうれしい。
事故現場に遭遇して思うのは、特に通勤途中の場合、被害者はもちろんのこと加害者も、せっかくの一日の始まりが残念なことになって気分が落ち込んでいるんじゃないだろうかということだ。だからといってその場を一瞬で通り過ぎて行ってしまう自分には彼らの気持ちを和らげてあげることはできないのだが、なんとかしてあげたい気持ちはいつもある。
数カ月前のことだが、はまぞう大感謝祭というものが行われた。
僕はスタッフとして参加し、一日中、駐車場の担当として行動していた。
どんな役割でもそうなのだが、しっかりとやろうと思えば休む暇なくすることは多い。駐車場係としてすることはかなりあった。
まだ来場するお客さんが少ないうちはすべきことは少ないが、駐車場がいっぱいになってくると途端にすることが多くなる。駐車場がいっぱいになれば別の駐車場へと案内することはもちろんだが、帰っていく車も出てくる。そうなると一見、いっぱいに見える駐車場もところどころ空きが出て車を停めることができるようになる。
せっかく来てくれたお客さんに対してできるだけ会場の入口に近い場所へと案内をしてあげたい気持ちもでてくる。駐車場の路上にゴミを捨てていく人もいる。掃除もしなければいけない。ボランティアとして手伝ってくれる学生さんたちの心配もしてあげなければいけない。
そんな中、駐車場で事故が起こった。
開いたスペースに停めようとして隣の車に接触してしまったのだ。駐車場係としてもそのような事故を完全に防ぐことは不可能に近い。
簡単に状況を聞き、本部に連絡をしてぶつけられた車の持ち主を呼び出してもらう。
ぶつけてしまった相手は二人の女性客だ。
バンパーに軽く擦り傷がついてしまった程度の事故なのだが、被害のあった車の持ち主が優しい人であればいいけれども、怖い人かもしれない。不安そうに佇んでいる彼女たちを見ていると少しでもその不安を取り除いてあげたいと思う気持ちになる。しかし基本的には僕は部外者で事故の対応は当事者同士で行なってもらうしかない。
被害者を呼び出してもらう指示を出した時点で僕のやることはなくなったのだが、話がこじれるようであったら言ってくださいと思わず口に出てしまった。
やがて被害者と連絡が取れて駐車場へと向かうように促したという本部からの連絡があったので、もうじき来ると思いますと彼女たちに言い、僕はその場を離れ再び駐車場係として他の車の案内をし始めた。
それから数十分ほど経ったのだろうか、事故を起こした二人の女性が僕を探してやって来た。
なにか問題が起こったのだろうか。
そう思ったのだが、二人の顔はさっきよりも明るい。
相手の人と話が済んで、この程度なら大丈夫ですよと言ってくれたらしい。
そのことをわざわざ報告に来てくれたのだ。
わざわざ報告に来てくれたということは僕の取った行動も少しは彼女達の不安を取り除くことにつながったのかもしれない。
お礼を言われるほどのことができたわけではないし、したわけでもないが、彼女たちの一日が暗い一日にならないために少しは役だったのかもしれないと思うと少しだけうれしくなる。
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