R&Bといえば、音楽の世界であればリズムアンドブルースだ。
しかし残念ながら、この本の題名は『R&R』なのでちょっと違う。
そしてこの本は音楽ではなく時間を扱っている。
時間を扱った小説の場合、「R」という文字と相性がいい、というかよく使われる。
ぱっと思いつく範囲で、
『リプレイ』ケン・グリムウッド
『リターン』北村薫
『リセット』北村薫
『リメイク』コニー・ウィリス
『リピート』乾くるみ
『リバース』北國浩二
『リライト』法条 遥
などがある。北國浩二の『リバース』はちょっと違うかもしれないが、未来を予知するという話なので含めてみた。
「R」というより正確には「Re」だ。
こうして並べてみるとさすがに主だった単語はすでに使われてしまっているような感じで、後続の物語にとっては分が悪いのだが、こういうものは先に使ったもの勝ちなのでしかたがない。
主だった単語がすでに使われてしまっているのであれば組み合わせてしまえばいいというで理由で付けたのかどうかわわからないが、この本の2つの「R」がなんなのかは実際に本を手にとって見てもらうとして、この物語の視点人物は時間ループに陥った人間ではなく、普通の人間であるところがこの本の見所の一つだ。
つまり主人公は、時間ループに陥った少年から何度も何度も話しかけられるのである。
ループしている少年は時間ループから抜け出すためにあれこれと試行錯誤をするのだが、主人公にとっては常に一回限りの出来事で、時間ループの連続性を理解することはない。そしてその物語を読む読者はというと、主人公のありえたかもしれない多種多様な可能性の世界を何度も何度も読むこととなるのである。つまり、少年の時間ループの物語であると同時に主人公自身のパラレルワールドの物語としても読むことができる。そこがこの本の面白い点だ。
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