テレビドラマ化されたおかげか、単行本が出てから一年も経たないうちに文庫化されてしまった。
それに合わせてなのかどうかわからないが、『硝子のハンマー』の文庫の表紙もいつの間にか変わっていて、文庫の方はシリーズ三作が統一されたデザインの表紙になっていた。
さて、それはともかくとして、テレビドラマの第一話をついうっかり観てしまったので、この本に収録されている第一話「佇む男」のトリックも犯人も知っている状態で読むことになってしまったのだが、トリックも犯人も知った上で読んでも特に支障は無かったのはやはり短編だったからだろうし、犯人が誰なのかということに重きを置いている話でもないし、トリックを見抜くつもりで読むわけでもないせいだろう。
さらには、シリーズが進むにつれてだんだんとキャラクター小説の比重も高くなり、探偵役である榎本の性格の悪さとワトソン役の青砥のいじめられっぷりの方が面白くなりつつあるせいも多分にある。
しかし、今回も最後に収録された「密室劇場」のふざけっぷりにはちょっとついていけない部分もあり、次の作品集が出るのであれば、この劇団が登場する話は無しにしてもらいたいと思うのだ。
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