この本に書かれたことの真偽はどうなのかわからないけれども、それでもこの本は面白い。
立川談志という人物が本当のところどんな人物だったのかなど誰にもわかりようがない。多分、本人だってわからなかっただろう。
そういう意味では立川談志は立川談志というキャラクターを演じ続けてきたわけで、この本は立川談志というキャラクターを演じてきた一人の人間の姿を快楽亭ブラックという人物が感じ取ったままに書きまとめた本なのだ。
闇雲に礼賛するわけでもなく、むやみやたらに非難するわけでもない。
快楽亭ブラックが良いと思った部分は褒め、駄目だと思った部分は貶す。
快楽亭ブラックにとって立川談志はどのような人間であっても師匠であり、しかし、師匠であるからといって闇雲に祭り奉るわけでもない。その複雑な愛憎の屈折具合が読んでいてものすごく伝わってくる。
ここに書かれたことが間違っていようが、快楽亭ブラックの勘違いであろうが、そんなことなどどうでもよくなってくる。
いろいろな思いが伝わってくるものすごくいい本だった。
コメント