こんなにも短期間にマシスンの短編集が出てしまっていいのだろうかと心配にもなってくるけれども、こういうタイミングでなければ早川書房や東京創元社以外の出版社で出るのは難しいかもしれない。
既訳はあるけれども、未訳の作品も多く含まれていて、早川版と比べると表題作だけが重なっているだけというのは本当に素晴らしいのだが、角川文庫版はどうやら『Steel: And Other Stories』を元にしたものらしい。
しかし、絶版となっている朝日ソノラマ文庫海外シリーズの『モンスター誕生』から「因果応報」、「日記さんへ」、「旅人」が収録されていたりとバランス配分が絶妙にいいのがなんだか不思議というかなんというか。
「下降」は「終わりの日」の別バージョンとでもいうべき感じで好きなんだけれども、こんな結末もマシスンは書くことができるのかという「旅人」におけるラストの数行も素晴らしいし、「日記さんへ」の馬鹿馬鹿しさもマシスンらしくて好きだ。そして読めば読むほどマシスンって作家がどんな作家なのかよくわからなくなってしまう。
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