『針の眼』ケン・フォレット

今さらながら、ケン・フォレットの『針の眼』を読んだ。
一時期、冒険小説にはまっていたとき、読んでみようかと思いつつも素通りしてしまったせいで、今まで未読だった。ここのところ冒険小説を無性に読みたい気分でいるので、名作の部類に入るこの小説を今、読むことが出来るというのはなかなかありがたいことだ。読まずにいた過去の自分に感謝したいくらいでもある。
が、わたしが冒険小説に期待することというのは、無謀なことに挑戦する人たちの物語というのが一番にあって、それ以外はあまり期待をしていない。
デズモンド・バグリィの『高い砦』やジャック・ヒギンズの『鷲は舞い降りた』、ギャビン・ライアルの『深夜プラス1』など、好きな冒険小説を振り返ってみても、この範囲内に収まっている。
ずいぶんと守備範囲が狭いので、未読の冒険小説が多いのも仕方がないのだが、では『針の眼』はどうだったのかというと、期待する物語とはちょっと違っていた。未読だったのはそのあたりも理由のひとつだったのだろう。
解説によれば、ケン・フォレットの書く小説はハーレクィンロマンス冒険小説とも言われているらしいのだが、『針の眼』でもその片鱗はあった。
まあ面白かったのは確かなんだけど、登場人物の一人に対する作者の扱いかたがちょっと酷い感じがしたので、素直に面白かったとはいえないんだなあ。
続いて、佐々木譲の『エトロフ発緊急電』が『針の眼』のオマージュっぽい話だということなので、それを読むために、直接の繋がりはないとはいうものの三部作の一作目『ベルリン飛行指令』を読み始める。佐々木譲のこの三部作も未読だったのだ。

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