講談社文庫

『ロードムービー』辻村深月

単なる短編集かと思ったら、辻村深月のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』からスピンオフした短編集だった。『冷たい校舎の時は止まる』は未読だったので、先に読むのはどうかとも思ったが、解説では『冷たい校舎の時は止まる』との密接な関係に関しては触...
奇想天外社

『SFの翻訳』矢野撤

以前にも書いたけれども僕にとっての「SFの父」は福島正実で、「SFの母」はジュディス・メリルだ。で、矢野撤は「SFの伯父さん」という位置づけになる。『442連隊戦闘団』では第二次世界大戦での日系アメリカ人によって編成された「442連隊」に関...
東京創元社

『時間はだれも待ってくれない』高野史緒 編

もの凄く志の高い本だ。前書きや解説を読むとそれがよくわかるのだが、それにしてもここまでこだわった本を作ることができたのであればアンソロジストとしては本望だろう。英訳等からの重訳を避け、あくまで本来の言語からの翻訳を目指したという点や、可能な...
ハヤカワ文庫NV

『リアル・スティール』リチャード・マシスン

「四角い墓場」が「リアル・スティール」という題名で映画化されたことで、マシスンの日本独自版の短編集が出た。「運命のボタン」といい、マシスンもフィリップ・K・ディックなみに映画化される作家みたいになってきた感じだ。もっともマシスンは昔から映像...
漫画

『預言者ピッピ 2』地下沢中也

連載半ばで連載していた雑誌が休刊になってしまったので続きが出るのは半ばあきらめていたけれども、続きは書き下ろしという形で二巻目が出た。前巻はピッピという存在を中心に展開していったけれども、今回は前巻の最後で登場した喋る猿のエリザベスと、ピッ...
河出書房新社

『遠い町から来た話』ショーン・タン

ショーン・タンの作品を読むのはこれが初めてだけれども、うーん、これはクラフト・エヴィング商會だなあ。クラフト・エヴィング商會の視点は大人の視点だけれども、ショーン・タンの方の視点は子供の視点が多い。なので想像の飛躍という点ではショーン・タン...
岩波文庫

『不思議な少年』マーク・トウェイン

角川文庫の『不思議な少年44号』は、作者が完成させずにそのままにしておいただけあってそれなりの完成度の話だった。はっきりいって読みづらい。しかし、マーク・トウェインの死後に編集者が勝手に改竄して発表したバージョンが岩波文庫で出ていて、ネット...
創元SF文庫

『妖精作戦』笹本祐一

かつて、朝日ソノラマ文庫というレーベルがあった。1975年に発刊し、2007年9月まで続いた。ライトノベルの走りでありながら、ライトノベルのブームにも乗らず、独自の路線を走り抜けたというイメージがある。それもそのはずで、発刊当時のラインナッ...
漫画

『見かけの二重星』つばな

謎の天才科学者が作った物質転送機の事故で二人に分裂してしまった主人公の女子高生。物質転送機の事故というと「蠅男」のように二つの物が一つになってしまうパターンを思い出すのだが、二つに増えてしまうというパターンはジェイムズ・パトリック・ケリーの...
文春文庫

『ガリレオの苦悩』東野圭吾

今回から内海刑事が登場する。テレビドラマ化されたことによるドラマのみのオリジナルキャラクターだったが、意外と人気があったのかそれとも作者のサービス精神の現れなのかはわからないけれども、何となく前作に比べて作品そのものが若返ったような感じがす...
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