講談社文庫

『ムーミン谷の十一月』トーベ・ヤンソン

前作でムーミン一家が海へと出かけている間の出来事なので、ムーミンシリーズ最終作でありながら、ムーミン一家が誰も登場しないという果たしてこれは児童物なのかと言いたくなるような話だ。さらにその内容の方も、お世辞にも子供向けとはいえない内容で、ト...
自費出版

『標本 マイリンク疑似科学小説集』グスタフ・マイリンク

垂野創一郎さんによる自費出版なので一般には流通していない。グスタフ・マイリンクは様々な信仰団体や神秘主義者のグループと交流し、最終的にはプロテスタントから大乗仏教徒に改宗したという経歴を持つ。西洋から東洋の宗教への改宗というと、ユダヤ教から...
宝島社文庫

『おやすみラフマニノフ』中山七里

時価2億円相当の楽器が鍵のかかった密室から盗まれるというミステリ的な謎から始まりながらも、殺人事件が起こるわけでもなくミステリ度は意外と前作よりも低い。冒頭で起こった楽器消失事件でさえも事件そのものを警察沙汰にしないせいもあってか捜査らしい...
評論社

『信ぜざる者コブナント 邪悪な石の戦い』

第二巻は前巻の直後から始まる。自分の世界に戻ったコブナントは何も変わっていない状況を受け入れ以前と同じ生活を送るのだが、馬小屋が放火されたりと町の人々からの迫害は続く。そんなある時、別れた妻から電話がかかる。妻は自分と話したがっている。しか...
漫画

『海街diary 4 帰れない ふたり』吉田秋生

巻末の予告を見る限りでは五巻までは出そうだ。主となる物語が存在しないので、この話が何処まで続くのかわからない。『BANANA FISH』のような長編作品ではなく、緩やかに繋がる連作短編なので描こうとすればいくらでも描けるだろうから、長く続い...
創元推理文庫

『TOKYO BLACKOUT』福田和代

基本的に電気は溜めることができないということがどういうことなのかがよくわかる話だった。もちろん少量ならば蓄電池という方法で溜めることはできるし、大規模な蓄電であれば揚水発電という方法もある。しかし、ひとつの電力管内において一日に必要な電力量...
創元推理文庫

『探偵術マニュアル』ジェデダイア・ベリー

ハメット賞受賞ということでミステリ寄りかと思っていたのだけれども、期待したような内容ではなかったのでちょっとがっかり。これだったらミステリのレーベルよりも帆船マークの方で出した方がよかったかも。降り続ける名もない都市、探偵そしてその探偵を統...
講談社文庫

『誘拐児』翔田寛

同じ誘拐物の岡島二人の『99%の誘拐』の後で読んだせいか、ちょっと分が悪い印象になってしまった。過去にあった誘拐事件とそれから十数年後に起こった家政婦殺しの二つの事件が絡み合う展開なのだが、事件を追うのが、自分は十数年前に誘拐されたのではな...
河出文庫

『NOVA5』書き下ろし日本SFコレクション

こうして短編SFの発表の場があるというのはありがたい。まだまだSFの夏は続いているようだ。今回はシリーズ連載の「火星のプリンセス 続」を除けばどれも粒ぞろい。「火星のプリンセス 続」は完結してどうなるかってところ。伊坂幸太郎の小説を読まなく...
ハヤカワ・ミステリ文庫

『火刑法廷』ジョン・ディクスン・カー

長いこと積読で、しかもどこにあるのかもわからない状態になってしまっていたので、新訳版を買って読むことにした。探し出すより買った方が早いというのは真理なんだけれども、まああまり褒められた行為ではないのでできる限りこういう事はしないようにしよう...
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