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『口笛が聞こえる季節』アイヴァン・ドイグ

主人公は三兄弟の長男。母親を亡くし、父と二人の弟と暮らしている。母を亡くした傷は癒えていないが、徐々に日常の生活を取り戻しつつあるのだが、そんなある日、父親は「料理はできませんが噛みつきません」という風変わりな家政婦を雇う決意をする。そして...
創元推理文庫

『聖域』大倉崇裕

僕は登山にはほとんど興味が無いし登ったことがあるといえば伊吹山の山頂遊歩道ぐらいなのだが、山岳小説は嫌いではない。山岳ミステリーというと僕の中では真保裕一の『灰色の北壁』が記憶に新しいが、古い記憶を遡ってみると『ホワイトアウト』も山岳ミステ...
文春文庫

『隠し剣秋風抄』藤沢周平

去年、『必死剣鳥刺し』という映画が公開された。「必殺」ではなく「必死」そして「鳥刺し」という言葉の響きに興味を持ったがさすがに映画を見に行くほどまでは興味は持たなかった。しかし「必死剣鳥刺し」というものがどういう剣法なのか気にはなったままだ...
漫画

『銀の匙 1』荒川弘

完結したら一気に読んでしまおうと思っていた『鋼の錬金術師』は27巻にも及ぶ長編になってしまったのでなかなか読むというところまで踏ん切りがつかなくなってしまった。もちろん27冊程度ならば読むのはそれほど問題ではないけれども、読むということは自...
講談社文庫

『ムーミンパパ海へいく』トーベ・ヤンソン

題名だけ見ると、ムーミンパパが海へ行って何か冒険する話のようなものを想像するけれども、海へ行くのはムーミンパパだけではないので、正確にいうならば『ムーミン一家海へいく』になる。しかし、こう書くと海へレジャーをしに行くような話に思えてしまうの...
講談社文庫

『まごころを、君に THANATOS』汀こるもの

前作に比べると世間での評判はちょっと悪いようだが、前作のミステリに関する突き抜けというか挑戦的な部分がアクが強すぎて楽しむことができなかった身としては、今回の方がわりと好みだったりする。といっても、前作以上に注ぎ込まれた水生生物の飼育に関す...
河出文庫

『チリの地震』H・V・クライスト

物語もさることながら、作者の経歴が凄まじい。これに匹敵するとなるとイエールジ・コジンスキーか、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアくらいしか思いつかないけれども、コジンスキーもティプトリーもある方面では世間で評価されたのに対して、ハインリヒ・...
創元SF文庫

『結晶銀河 年刊日本SF傑作選』

あまり雑誌は読まないし、買っても掲載されている小説はほとんど読まない。買ったのに読まないというのも不思議な話なんだけれども、昔から何故か雑誌に掲載された小説は読む気が起こらないのだ。そんなわけだからこの手の年間傑作選は自分にとってはありがた...
講談社文庫

『カラスの親指』道尾秀介

扱っている題材がコンゲームというせいだろうか、どことなく伊坂幸太郎の小説っぽい感じもする。今までの作品にまるっきり無かったというわけではないが、弱者に対する視線の暖かさが顕著にでているという点もそう感じさせる原因のひとつかもしれない。騙すと...
講談社文庫

『チョコレートゲーム』岡嶋二人

誘拐を扱ったミステリでデビューしたせいで長いこと岡島二人の小説は読んでいなかった。最初に読んだのはコンビを解散した後、井上夢人単独で書いた『ダレカガナカニイル…』で、その次が『おかしな二人―岡嶋二人盛衰記』という始末だ。岡島二人の作品にはス...
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