光文社文庫

『十三角関係』山田風太郎

光文社文庫の『十三角関係』は山田風太郎が生み出した探偵、茨木歓喜が登場する話を集めた本だ。ただ、残念なことに光文社文庫版『十三角関係』は二種類存在する。一つは「帰去来殺人事件」が収録されたもの、もう一つは「帰去来殺人事件」が省かれたもの。初...
新潮文庫

『デンデラ』佐藤友哉

佐藤友哉が「姥捨て」というものをどういう風に書いたのかちょっとばかり期待をしたけれども、姥捨てという初期設定が同じだけで『楢山節考』とはまったくの別物であり、何をどんな風に書いたとしても佐藤友哉の小説に変わりはなかったので楽しめた。リアリテ...
新潮社

『湯微島訪問記』伊井直行

家に二冊ある伊井直行の未読本から一冊取りだして読み始めた。本当はもう少し取っておきたかったのだが、本というのは読みたい気分の時に読んだ方が良いときもある。例外もあるけど、その時は読むのを止めればいいだけだ。見えない聞き手によるインタビュー形...
宝島社文庫

『さよならドビュッシー』中山七里

普通ならばこちらの方を先に読むのだろうけれど、こちらの方はアンテナにひっかからずに『連続殺人鬼 カエル男』の方がアンテナにひっかかって先の読んでしまったので、後からこちらを読むことになった。『連続殺人鬼 カエル男』とはタイプの異なる話である...
メディアワークス文庫

『大正二十九年の乙女たち』牧野修

大正時代が十五年で終わらずにそのまま続いた世界で、舞台となる場所は大阪ならぬ逢阪。しかしそれが何か物語に密接に関係するのかといえば全く関係しない。歴史改変物語でもないし、SF的な設定があるわけでもない。もっとも何か見逃している部分があるかも...
漫画

『クレープを二度食えば』とり・みき

作者の弁によれば、リリカルな作品を集めた短編集ということなのだが、今回の目玉でもある「もうひとつの転校生」はちょっと違うだろうと物言いをしたい。大林宣彦監督の映画『転校生』に対するとりみきの返歌ともいえるのだが、終盤まではリリカルだが結末は...
講談社文庫

『ムーミン谷の彗星』トーベ・ヤンソン

講談社文庫からムーミンシリーズの小説が新装版で出た。ちょうどいい機会なのでムーミンシリーズの小説を一気に読んでしまおうと思った。最初は『ムーミン谷の彗星』だ。この話は既読だったけれども、読み直してみてもやっぱりおもしろかった。冒頭から不安が...
偕成社文庫

『屋根裏の遠い旅』那須正幹

子供向けに書かれた戦争を扱った小説というのは沢山あるが、那須正幹が書いたこの本はちょっと変わっている。SF的な趣向を取り入れ、太平洋戦争で日本が勝った世界を扱っているのだ。主人公達二人組は小学校の教室の屋根裏を探検しているうちに平行世界へと...
メディアワークス文庫

『舞面真面とお面の女』野﨑まど

『小説家の作り方』の感想に書いたとおり、野﨑まどの二作目である『舞面真面とお面の女』をさっそく読んでみた。うーん、確かにこれは『 アムリタ』の後で期待して読んだとしたらがっかりしてしまったかもしれない。魅力的なというかライトノベル小説におけ...
双葉文庫

『八月の濡れたボール』軒上泊

その昔、『スクール☆ウォーズ』というテレビ番組があった。人気があったのでその後続編『スクールウォーズ2』が作られたのだが、軒上泊の『八月の濡れたボール』はその原作となった小説だった。ただし、テレビの方はラグビーなのだが、原作の方は野球である...
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