PHP研究所

『カラット探偵事務所の事件簿1』乾くるみ

『蒼林堂古書店へようこそ』が比較的ミステリ度の低い話だったので、今回も同レベルのものなのかと思っていたら全然違った。金持ちの道楽的な形で探偵事務所が開かれ、利益を出すことは主眼におかれていないので、持ち込まれる事件や相談にたいして取捨選択が...
ハヤカワ文庫JA

『青い星まで飛んでいけ』小川一水

貶すところなんてないんだけれども、突き抜けた部分が無いので今一つ魅力に欠けてしまう。まあ、悪くいえばいろいろなところで書いた短編を寄せ集めただけなので仕方ないけれども、小川一水に対する期待値が高すぎてしまっているせいもたぶんにあるかもしれな...
ハヤカワ・ミステリ文庫

『ギデオンの一日』J・J・マリック

古参のミステリ好きならば読んでいて当たり前だろうけれども、わたしは今まで未読だった。まあミステリといえば密室殺人が一番の花だと思っていた人間なので、密室殺人でもなく、アッと驚くようなトリックがあるわけでもなく、名探偵が活躍するわけでもなく、...
新潮文庫

『エトロフ発緊急電』佐々木譲

1941年、日米開戦前夜、日本海軍の動向を探るためにアメリカ海軍情報部は日本に向けて日系アメリカ人ケニー・サイトウをスパイとして送り込む。ケニー・サイトウはスペイン内戦で、民主主義の大義のため義勇軍として戦ったという経歴がありながらも、理想...
幻冬舎コミックス

『死んだ女は歩かない2 あくまで乙女』牧野修

続きが出るのか微妙なところだったけれども、何とか続きが出た。作者のtwitterを見る限りでは、今作がかなり売れないと三作目は出せそうもないなどということが書かれていて、これは困った状態だ。何しろ、今回はいよいよ物語の佳境に入って、一連の陰...
漫画

『うみべの女の子 1』浅野いにお

『おやすみプンプン』を読むのが辛くなってきた。しかし、たぶんそれでもこの漫画が完結するまで読み続けるのだろうと思う。そんなおり、浅野いにおの新刊『うみべの女の子』が出た。ネットでの評判を調べてみるとそれほど悪くはないので読んでみようと思った...
日常

書くということの難しさ

いつも拝見させていただいている三軒茶屋 別館さんの四月一日の記事を読んでいたら自分のブログのことが書かれていてびっくりしてしまった。当たり前のことだが、不特定多数の人の目に留まる形で文章を綴っているということは、誰かにその文章を読んでもらい...
漫画

『海辺へ行く道 夏』三好銀

もの凄く不思議な漫画だった。もの凄く静かで、何かとてつもない恐ろしいことが起こっているような予兆を感じさせながらも、その恐ろしさはあくまで断片的であり、明確な形として物語の表面には現れない。そこに描かれるのはたわいもない日常であり、夏休みの...
角川ホラー文庫

『人造救世主 ギニー・ピッグス』小林泰三

ひたすら論理的に戦う小説である。敵は何らかの超能力を持ち、しかも再生能力を持っているので致命的な攻撃を受けない限り傷ついても再生してしまう。一方、主人公の方は何の超能力も持たないし、再生能力もない。必然的に、武力による戦いではなく、知力によ...
新潮文庫

『いたって明解な殺人』グラント・ジャーキンス

クレイグ・ライスの書く本に付けられてもおかしくない雰囲気の題名にそそられて手に取ってみたのだが、表紙の絵からしてクレイグ・ライスっぽい可能性はほとんど感じられず、裏表紙のあらすじを見て、心理×法廷サスペンスということで自分の好みには合いそう...
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