ちくま文庫

『ムーミンのふたつの顔』冨原眞弓

著者はトーベ・ヤンソンの小説を読みたくってスウェーデン語を勉強し、そしてムーミンをはじめその他のヤンソンの小説の翻訳をするにまで至ってしまったのだから、好きこそ物の上手なれを見事に体現している。わたしがムーミンと出合ったのは岸田今日子が声を...
漫画

『WOMBS(2)』白井弓子

白井弓子の『WOMBS』二巻を読み終える。二巻に収録された分は月刊誌での連載だったが、これ以降は書き下ろしとなるそうだ。というわけで三巻が出るのは順調にいって今年の12月になる。次巻で終わる予定はなさそうなので、どのくらい話が続くのか未定だ...
日常

見えないところで起こっている何か

去年の後半から治療し続けていた歯の治療がようやく終わった。ある日突然奥歯が痛み出し、一日経っても痛みは取れず我慢できなくなったために仕方なく歯医者に行くことにした。仕方なくといっても歯医者が嫌いだから仕方なく行ったということではない。行くの...
中公文庫

『ゼラニウム』堀江敏幸

『ゼラニウム』を読み終わる。時折、いつまでも読んでいたいという文章に出合うことがある。そこに書かれている内容がどうのこうのというわけではなく、ただ、ひたすら、その文章に浸り続けていたいと思うのだ。わたしにとって、堀江敏幸の文章はそういう文章...
ホンの話

一括と分割の問題

横田順彌がSFマガジンに連載していたものをまとめたものらしい本が出るらしいと知ってこれは欲しいと思ったのだが、どんな本かと調べてみて驚いた。ピラールプレスという出版社から出た『近代日本奇想小説史 明治篇』である。何しろ1220頁、値段は12...
小学館集英社プロダクション

『L’INCAL アンカル』アレハンドロ・ホドロフスキー,メビウス

1986年に講談社から『L'INCAL NOIR/謎の生命体アンカル』として第一巻が出て、そしてそれっきり音沙汰なしになってしまい、あきらめきっていたところでようやく出た。デジタル彩色版が出ているのだからそちらの方を出してくれればいいのにと...
日常

僕と妻の1778の物語

『僕と妻の1778の物語』を妻と一緒に見に行った。『妻に捧げた1778話』は読んでいたので実際はどうであったのかは知っていたし、本来ならば好き好んでまで映画館に足を運んで見に行く系統の映画ではなかったのだが、映画の主人公がSF作家であるとい...
筑摩書房

『本当の名前を捜しつづける彫刻の話』伊井直行

わたしが伊井直行の存在を知った時には伊井直行の著書の大半は絶版だった。だから、少しずつ古書を探して絶版となってしまっている本を読みつつあるところで、残りあと六冊。多作ではないので一度に集めて読み切ってしまわないように、慌てず、ゆっくりと探す...
角川書店

『ファイナル・ラップ』川島誠

『海辺でロング・ディスタンス』の続編だった。それにしても、表紙の絵といい、内容紹介といい、誤解を与えるような物ばかりで、表紙絵や内容紹介だけを見てこの本を読んだ人はさぞかし驚いたことだろう。どちらかといえば著者紹介文に書かれている「生と性を...
ホンの話

名セリフ

ここ最近、『怪奇小説という題名の怪奇小説』で検索して来る人が多い。それだけ気になっている人がいるということなのだろう。都筑道夫が注目されるという点ではファンとしてうれしいのだが、『怪奇小説という題名の怪奇小説』はまともな小説ではないので(貶...
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