ゴブリン書房

『「希望」という名の船にのって』森下一仁

ものすごく久しぶりの森下一仁の新刊。といっても刊行されたのは去年なので、まあ読むのをさぼっていたという面もあるけど。謎の病原菌に汚染された地球を脱出し、生存可能な新しい星を目指す宇宙船「希望」が物語の舞台となる。主人公は12歳の少年。船が地...
ハヤカワ文庫JA

『希望』瀬名秀明

瀬名秀明の日本SFとの決別発言を知っている身にとっては、瀬名秀明の本が早川書房から出るというのは感慨深いものがある。しかも著者の初めての純粋な短編集なのだ。と書きながらも、瀬名秀明の小説はあまり読んでいない。デビュー作は未読だし、『BRAI...
ハヤカワ文庫JA

『地球移動作戦』山本弘

50年代もしくは60年代SFを現代でも通用するレベルで語りなおしたという点では力作なんだけど、ちょっと期待していたのとは違った。じゃあ、どんなものを期待していたのかといえば明確なものがあったわけではないのだけれども、いかにして地球を移動させ...
講談社文庫

『天使の傷痕』西村京太郎

十津川警部物を書き始めてから西村京太郎の作品は読まなくなってしまったのだが、それ以前はわりと読んでいた。アリバイ崩しというものがあまり好きではなく、トラベルミステリ=アリバイ崩しという印象があったせいでだ。トラベルミステリが即、アリバイ崩し...
ハヤカワ文庫SF

『星の光、いまは遠く』ジョージ・R・R・マーティン

こんなにも膨大な設定が必要なのかと思うくらいにマーティンが考え出した設定が延々と語られる。これが<氷と炎の歌>シリーズであれば物語そのものが長大で設定に見合うだけの物語が用意されているから我慢できるけれども、<一千世界>シリーズとはいえども...
ハルキ文庫

『風の邦、星の渚』小川一水

「十四世紀の神聖ローマ帝国辺境で、人知れず果たされたファーストコンタクトから始まった運命の変遷を描く長篇歴史SF」これはまるでマイクル・フリンの『異星人の郷』ではないか。歴史物だと思いこんでいたので読まずにいたのだけれども、文庫化された裏表...
講談社文庫

『ハヅキさんのこと』川上弘美

作者いわく「エッセイの体裁をとった小説」とのこと。一編一編が10ページにも満たない掌編で、どの話から読んでもかまわないし、どの話で本を閉じてもかまわないのだが、止めどきが見つからず、ついついだらだらと最後まで読んでしまう。読んでいるその瞬間...
RHブックス・プラス

『ベルファストの12人の亡霊』スチュアート・ネヴィル

突然、幽霊が見えるようになってしまい、しかもその幽霊は未練を果たすために自分にたいして頼み事をしてくる。幽霊に消えてもらうためには幽霊の頼み事をかなえてあげなくてはならない。なので仕方なくその幽霊の願いを叶えるために奔走するという話をほろり...
創元SF文庫

『クロノリス 時の碑』ロバート・C・ウィルスン

未来から飛んできた巨大な塔といえば今日泊亜蘭の『光の塔』を連想してしまうが、今日泊亜蘭の主人公は熱血漢であるのに対してロバート・チャールズ・ウィルスンの主人公はそれとは正反対に近い。ガジェットそのものは派手だけれども、物語の展開は主人公の性...
角川つばさ文庫

『星の王子さま』サン・テグジュペリ

ジョアン・スファールの『星の王子さま バンド・デシネ版』を書店で実物を見たとき、購買意欲をかき立てられるほどジョアン・スファールの描く「星の王子さま」は魅力的ではなかった。本文が池澤夏樹によってどのように訳されているのか確認できなかったのも...
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