創元推理文庫

『針の眼』ケン・フォレット

今さらながら、ケン・フォレットの『針の眼』を読んだ。一時期、冒険小説にはまっていたとき、読んでみようかと思いつつも素通りしてしまったせいで、今まで未読だった。ここのところ冒険小説を無性に読みたい気分でいるので、名作の部類に入るこの小説を今、...
ハヤカワ・ミステリ文庫

『ブルー・ドレスの女』ウォルター・モズリイ

物語の雰囲気は悪くないし、主人公の造形も悪くない。主人公は毛嫌いしているが腐れ縁的に主人公を助ける主人公の悪友の存在もなかなか良い。主人公が黒人であること、そして随所で主人公や主人公の友人たちがその事、つまり黒人であるということにおける偏見...
成甲書房

『京城・昭和六十二年―碑銘を求めて』卜鉅一

このブログのカテゴリは出版社とレーベルになっている。こうして眺めてみるとかなり沢山の出版社とレーベルがあるものだと思うのだが、これでもごく一部にすぎない。消えてしまった出版社やレーベルもあるのだが、中には消えてなくても、もうこの先この出版社...
国書刊行会

『ミステリウム』エリック・マコーマック

自分が書いた『隠し部屋を査察して』の感想を読み直していたら、この人の長編はあまり読みたくないなあ、などと書いてあって自分の記憶力のなさやら、意志の弱さやらなにやらいろいろと自分自身にがっかりした。物語冒頭から、いかにも信頼できない語り手がう...
徳間文庫

『カミングアウト』高殿円

ライトノベルというのは難しい。毎月数十冊も出て、大半はお気軽な娯楽小説であるのに、ごくたまにとてつもなく面白い小説が出てきたりする。そのごくたまに出るとてつもなく面白い小説を探し出すためには数十冊の本をチェックしなければいけないから大変だ。...
講談社

『角のないケシゴムは嘘を消せない』白河三兎

前作の雰囲気はそのまま残っているので前作の雰囲気が好きだった人は安心して読んでもいいと思う。ただし、前作のような話ではないので、前作のような話を期待した場合はがっかりするかもしれない。わたしはがっかりした側だった。二作目は必ずしも一作目と同...
講談社文庫

『時をきざむ潮』藤本泉

一時期、江戸川乱歩賞受賞作を重点的に読んだことがあったのだが、ではどのくらい読んだのか振り返ってみると、その期間で12作程度しか読んでいなかった。当時すでに第35回ぐらい受賞は行われていたので、三分の一程度しか読んでいない計算となる。その後...
ハヤカワ文庫NV

『脱出山脈』トマス・W・ヤング

デズモンド・バグリィと比べてはいけないと理解していたとはいえ、ちょっと期待しすぎたか。政治色が強すぎたのがやはり難点で、もっともアメリカ人からすれば、いや、自国がテロのターゲットとされている状況下で、そのテロ組織に対して理解し合うといったコ...
日常

人の意識

人の意識とは何なのだろうと思う。SFの世界では意識の問題を扱った小説がある。グレッグ・イーガンはこの問題をよく扱う。妻が病気になるまでは、小説として楽しみ、愚考して楽しんでいたのだが、妻が病気になってからは、この意識という問題は身近な問題と...
日常

向き合うこと

週末、相談に乗ってもらっている障害者相談支援事業所の人と一緒に精神障害デイケア施設を見学に行った。もちろん妻も一緒だ。日中、一人っきりで居る事の多い妻が少しでも孤独感を癒すことが出来る方法の一つとして、施設を検討してみたのだ。感じは悪くはな...
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